出産記録(5)こんにちは、赤ちゃん
微妙な雰囲気な中で(自業自得)手術は開始され、麻酔の効いたお腹にメスが入りました。
帝王切開の麻酔って、痛覚はなくなるけど触覚はあるんですよ!
だから、何かが下腹部触っていることはわかりました。
何かというか、メスとか先生の手とか。
うー、切れてる、怖い…うー、とか、
元気なのかな?まだかな?と思った頃(手術開始から正味10分くらいだったと思います)、先生が「出るよー!」と言って、
出ました。
もとい、産まれました。
月並みなんですが、泣けました。あやうくウェーンという産声に負けないくらいの泣き声をあげそうになったので、こらえました。
そして、ついたてでまだ見えぬ我が子の産声が聞こえる中で、先生が
「う〜ん、これはお父さん似かな?」
と。
え、そんな即判断できるほどに?(泣)
だって産まれたてでしょ?(泣)
(この(泣)は産まれたことによる感動の涙です。夫に似ていることが嫌なわけではありません(泣))
泣きながら、私は開口1番
「元気ですか(泣)」
と、猪木調で聞き、元気元気〜と先生が言ったのを聞いて、一安心でした(泣)
そして、私の顔の横に赤ちゃんがやってきて、その手を触ったときはやはり泣いてしまいました(泣…、この間ずっと泣いてました)。
真っ赤で、小さくて、柔らかい赤ちゃん。私がおかあさんよ…
「ハーイおかあさんこっち向いて〜」
へっと思い声の方を向くと、タブレットのカメラのフラッシュがパシャリ。
えっえっと思っている間に
「ハイ、ではお父さんのところに連れて行きますね〜」
は、はやい!!!
いやこれから手術の続きだから当然だけども、そしてさっきのパシャリはなんぞ?と思っているうちにもう、お腹の中身がグイングインひっぱられ、まるで昔縁日で見た飴細工のようで「まな板の鯉」ということわざが頭の中に浮かんできました(ほんとは手術台の産婦ですが)。
グイングインされつつ考えていたことは、
…(あの飴細工、グイングインひっぱられたりもまれたりしてたけど、まさにそんな感じだなー)
…(おおっ、腰が浮くくらいひっぱられとる)
…(ところで赤ちゃんは無事にお父さんに会えたんだろうか)
…(顔が見えなかったけど、可愛かったな〜)
…(とか思うのは、やっぱり親の本能なのかな〜)
…
…
…
…
…(ずーっとグイングインするなー)
…
…(そんなにひっぱるもんあるんかなー)
…
…
…
…(な、長くない?)
…(い、痛い!…気がする)
…(ひー!内臓がちぎれる!…気がする)
…(ううっ寒い…寒くなってきた…)
…(く、苦しい…酸素が足りない…気がする…)
そう、産まれるまでの時間より、産まれた後のグイングインの方が、ずっと長かったんです。
だんだんひっぱられることが怖くなり、泣いたせいか鼻がつまって呼吸が苦しくなって、先生の明るい「血圧下がってます」という声にもビビりました。
正味1時間くらいでしょうか。
ようやく終わった頃には、心はぐったり、身体はぐったり寒気でガクガク、疲れ果てておりました。